1.竹炭浸漬液はpHが500°C竹炭で8.19,800°C竹炭で10.23であり,アルカリ性を呈した.導電率が高いが硬度は小さく,軟水であった.また木炭に比べカルシウムおよびマグネシウムイオンなど2価の陽イオンが多く含まれていた. 2.800°C竹炭は窒素充填し30日間密閉して二酸化炭素との接触を防ぐことにより,pHの変化を抑えて保存することができた. 3.炭浸漬液に金時豆を浸漬し,その液で加熱すると,蒸留水で加熱したものと比べ破断強度が有意に小さく,やわらかくなった.また,同モル濃度のカリウムイオンを含む溶液で加熱した場合,pHが高い方がより軟化したことから,炭浸漬液の金時豆軟化促進作用は,アルカリ性によるものであると考えられる. 4.竹炭浸漬液で金時豆を加熱すると,煮汁の吸光度が高かった.また,金時豆の赤色も濃くなった.同モル濃度のカリウムイオンを含む溶液で加熱した場合,pHが高い方が煮汁の吸光度が高くなったことから,炭浸漬で金時豆を加熱した場合に色が濃くなる作用は,アルカリ性によるものであると考えられる. 5.炭浸漬液で金時豆を加熱しても,蒸留水で加熱したものと比較してラジカル捕捉活性には差はみられず,抗酸化性に影響はなかった.全フェノール含量,DPPHラジカル捕捉能およびSOD様活性は吸光度と高い相関性を示した.