米飯粒の組織構造観察のための特殊粘着テープを利用した簡易切片化法を開発し,得られた組織切片を顕微鏡観察した. (1) アルコール上昇系の脱水置換によって試料をパラフィン包埋し,パラフィンの薄片も含めた米粒の組織切片を粘着テープ上に回収した.回収された切片は粘着テープごとキシレンに浸漬してパラフィンを溶解し,顕微鏡観察が可能となるようスライドガラス上に設置した. (2) 走査型電子顕微鏡を利用した組織切片の表面状態観察により,顕微鏡観察に耐え得る組織切片が作成されたことを確認した.また,炊飯による組織変化が変形や亀裂といった大きな変化だけでなく,細胞レベルでも生じていることが確認された. (3) 細胞壁の自家蛍光特性を利用して,米飯粒の細胞壁損傷を観察した.その結果,細胞壁の損傷は米飯粒外縁部に生じる傾向のあることが推測された.