イモこんにゃくの物性形成に及ぼす飛粉の影響を明らかにするために,精粉に飛粉を添加して飛粉量の異なる「のり」とこんにゃくを調製し,こんにゃくのクリープ特性,破断特性の測定および走査型電子顕微鏡による「のり」の構造観察を行い,以下の結果を得た. (1) 飛粉量の増加により,こんにゃくの弾性率,粘性率は低下した.フック体弾性率はほぼ飛粉量に対応して低下し,フォークト体粘弾性率,ニュートン体粘性率の変化とは異なる傾向が認められた. (2) クリープ試験,破断試験における飛粉添加の影響はS:T=1:0.8以上で顕著に増大した. (3) 低真空下での走査型顕微鏡による「のり」の観察から,精粉「のり」は太さ1.5-2μm程度の太い繊維からなる均一な網目構造を形成し,飛粉添加によって繊維は細くなり網目は大きく不均一となることが示された.飛粉由来のデンプン粒子は90℃下で糊化され,滑らかな様相が観察された.コンニャクゾルである「のり」の網目構造は飛粉添加によるこんにゃくの物性変化と密接に関連することが示された.