米のα-グルコシダーゼ活性と食味との関係を検討するため,24種類の米の糖化関連酵素活性を測定し,合わせて一般成分試験,炊飯特性試験及びRVAによる粘度特性試験を行った. (1) α-グルコシダーゼ活性は,コシヒカリやあきたこまちで高く,赤米(対馬)や神力は低かった.一方,α-アミラーゼ活性は,赤毛,赤米(種子島)で高く,コシヒカリは低かった. (2) α-グルコシダーゼ活性は,炊飯特性試験のヨード呈色度と溶出固形分に強い負の相関(1%有意)が,膨張容積と一般成分試験のアミロース含量に負の相関(5%有意)があり,更に,粘度特性試験の最高粘度,ブレークダウンと強い正の相関があった.これらは食味と関連が深い項目であるので,α-グルコシダーゼ活性は,間接的ながら食味と関連があると推定された.α-アミラーゼ活性は,精米の還元糖と強い正の相関が,溶出固形分,溶出還元糖と正の相関があった. (3) 主成分分析を行い,第1主成分(アミロース(負))と第2主成分(還元糖)を軸として主成分得点をプロットすると,コシヒカリとあきたこまちは第1主成分の+側に1グループを形成し,赤米は-側に1グループを形成した.第1主成分はアミロース(負)を示すとともに,米の品種の年代も示しているように思われた.更に,この第1主成分に対し,α-グルコシダーゼが0.778という大きな主成分負荷量を持ったので,α-グルコシダーゼのアミロペクチン合成への何らかの関与が示された.