亜硝酸塩無添加塩漬の際の乾塩漬と湿塩漬のマイクロフローラの相違と乾塩漬と湿塩漬を組み合わせた二段階塩漬によって塩漬中のマイクロフローラを制御し,かつ消費者に受容される食塩濃度のハムを製造することを目的として本研究を行ったところ,次のような知見を得ることができた. (1) 原料肉重量に対し3%または6%の食塩を使用した1または3日間の乾塩漬をすることによって乳酸菌を除き原料肉表面の菌を抑制できる. (2) 湿塩漬に比べ,乾塩漬は一般生菌,グラム陰性桿菌,グラム陽性球菌を有意に抑制し,効果的な抑菌が期待できる. (3) 乾塩漬後,湿塩漬を行う二段階塩漬は一次塩漬を食塩濃度6%・3日以下の乾塩漬とし,二次塩漬で塩漬液の食塩濃度を調整し,製品食塩濃度2%以下の製品を得ることが可能である. (4) 二段階塩漬,特に食塩濃度3%・3日間の乾塩漬試験区では湿塩漬よりもグラム陰性桿菌とグラム陽性球菌を塩漬期間を通して低く保つことができる.