カルシウムの可溶化と食品としての嗜好性の両面から,しらす干しに対する柑橘果汁もしくは米酢の添加について検討を行った.柑橘果汁もしくは米酢を添加したしらす干しからのカルシウムの可溶化率は,いずれも添加量の増加に伴って上昇した.パネルによる嗜好評価から,スダチ果汁を20%添加したしらす干しが,味,匂い及び総合評価において最も好まれた.以上の結果から,柑橘果汁を添加したしらす干しの食品開発にあたっては,カルシウムの可溶化率のみならず,嗜好性とのバランスを考慮に入れた条件設定が必要であると推察した.