こんにゃく製造における「のり」の物理的性状について,静的粘弾性測定法による測定を試み,みかけの粘度,こんにゃくの粘弾性との関係を検討し,以下の結果を得た. (1)「のり」は,高さ2mm,直径55mmの極めて薄い円板形に成形し,高剥離性のテープを用いた型枠を使用することで,容器に入れない状態での測定が可能となった. (2) 精粉「のり」のみかけの粘度とそのこんにゃくの粘弾性率は正の相関が認められたが,荒粉「のり」では,粘度の上昇に対しこんにゃくの粘弾性率は上昇がみられず,精粉とは異なる傾向を示した. (3) 「のり」の自重による変形量は,3.2%「のり」で認められず,2.2∼3.0%で試料直径の0.2∼0.3%であった. (4)「のり」の自重による変形量を,一定応力下のクリープ曲線から差し引いて補正し,得られたクリープ曲線を解析してみかけの粘弾性率を求めた.その結果,「のり」とこんにゃくの粘弾性率の変化には,各濃度で近似した傾向が認められ,特にフック体弾性率で顕著であった. (5)「のり」の静的粘弾性測定による評価によって,性状の異なる精粉及び荒粉「のり」とそのこんにゃくの物理的性状について特徴を相互に比較して評価し得ることが示された.