モモ,リンゴ,プラム,ブドウ(巨峰)およびアンズの5種類の果実類の糖尿病等の予防効果の可能性を検討するために,脂肪細胞の機能活性化,インスリン感受性の上昇効果を調べたところ,以下の知見が得られた. (1) いずれの果実類の強疎水性画分も,グリセロール-3-リン酸脱水素酵素および細胞内油滴を上昇させ,脂肪細胞の機能を活性化させることがわかった.いずれの品目も濃度依存的に活性が増加した.特にモモは低濃度で著しく作用し,極性成分(弱疎水性)においても若干の活性を認めた. (2) 強疎水性画分の添加において,インスリン共存下で細胞内へのグルコースの取り込み量の上昇が認められ,細胞のインスリン感受性が高まった.品目間ではモモが顕著であり,極性成分においても取り込み量が若干増加した. これらのことから,今回用いた5種類の果実は,in vitro試験では脂肪細胞の機能を活性化させ,インスリン感受性を上昇させる作用があることがわかった.特にモモは顕著であり,体内に吸収された場合には,糖尿病等の予防効果をもつ可能性があることが示唆された.