GDLを添加した還元脱脂乳ゲルにおいて,OSCN-およびH2O2を添加し,硬度を比較した.OSCN-およびH2O2はいずれもゲルの硬度を低下させたが,その作用はOSCN-がきわめて顕著であった.次に,上記酸化剤の還元脱脂乳およびβ-LGのSH基に対する影響を調べた結果,各溶液中のSH基量はいずれの添加によっても減少し,その作用はOSCN-が強いことが分かった. OSCN-およびH2O2を酸化剤として還元脱脂乳のSH基を酸化した場合,熱履歴やゲル化温度条件が同じならば,どちらの酸化剤を使用したとしてもその種類に関係なく,SH基の減少量に応じてほぼ硬度が決定されることが明らかとなった.OSCN-およびH202による硬度低下は,共にこれらがSH基量を減少させ,ゲル化過程で必要な乳タンパク質の分子間SS結合を阻止することによって生じたものと考える.