冷麺の官能検査項目とテンシプレッサーによる分析項目との関係について調べ以下の結果を得た. (1) 冷麺の官能検査項目と分析項目との相関行列をみた結果,官能検査項目内及び分析項目内での相関はかなり高い項目があったが,官能検査項目と分析項目間ではあまり高い相関はみられなかった. (2) 官能検査項目を従属変数(y)とし分析項目を独立変数(X)とする,2次曲線の当てはめを行った結果,相関係数が大幅に向上する項目が認められた. (3) 分析項目の因子分析を行った結果,分析項目は質的因子と強度因子の2つの因子が抽出された.質的因子とは分析項目の内応力の比率(100%圧縮応力/50%圧縮応力),プライアビリティ,破断応力,圧縮応力(100%圧縮応力),破断ひずみの相関が高く,強度因子とは50%圧縮応力,麺の太さ,圧縮エネルギー,破断エネルギーの相関が高かった. (4) 抽出した因子を軸とする散布図により,試験に使用した麺の太さ,でんぷんの配合量,押し出しスクリュ回転数が識別可能であった. (5) 抽出した2つの因子と相関の高い分析項目,あるいは抽出した因子そのものを独立変数(x1,x2)とし,官能検査項目を従属変数(y)とする2次重回帰モデル式への当てはめを行った結果,単相間の場合よりも重相関係数は更に向上した. (6)2次重回帰モデル式への当てはめにより導かれた回帰式による3次元曲面を検討した結果,細麺と太麺(それぞれ1.1mmと1.5mmの穴の経を持つダイを使用して製麺)とでは質的因子と強度因子との関係に差がみられ,細麺は質的因子に最適値を持ち,硬く且つ,ほど良く弾力性のある麺が好まれるが,太麺はこれと逆に強度因子に最適値を持ち,ほど良い硬さがあり且つ,弾力性の強い麺が好まれることが明らかとなった.