高圧通電加熱装置を試作し,各種食用米の炊飯に適用できることが判明した.得られた炊飯米の物理的特性値をテンシプレッサー,DSC,白度計,ラピッドビスコを用いて測定した.タイ米は高圧通電加熱することにより,米粒表面の硬度の低下と同時に粘度の上昇が起こり,通常炊飯した国産米に近い物理的特性が得られることが分かった.一方,日本晴,コシヒカリ,もち米では同様の高圧通電加熱処理を行っても,タイ米ほど顕著な物理的特性の変化が見られなかった.このことは,DSCおよびラピッドビスコの測定結果から,タイ米を120℃以上に加熱した場合に,タイ米に含まれるアミロースが新たな構造を形成し,粘度が上昇したものと考えられた.高温加熱による色変化は加熱時に現れる水溶性の糖の含有量が多いもち米で大きく現れたが,タイ米は色の変化が見られなかったことから,タイ米の高温加熱処理は物理特性の改善の点からも有効な調理方法であることが分かった.