食中毒などの微生物被害の未然防止を目的として,高圧とアリルイソチオシアネート(AIT)添加の併用処理による微生物制御を試み,以下の結果を得た.(1) AIT無添加で高圧処理を行った場合,完全殺菌には,細菌栄養細胞で300~500MPaの圧力を必要とした.芽胞は,600MPaの圧力処理によっても殺菌効果は認められなかった.また,E.coliの2菌株を比較した場合,CR-3の方が耐圧性が高かった.(2) AITの各細菌に対するMICは初発菌数の増加と共に高くなった.(3) 細菌栄養細胞において,高圧処理単独では殺菌効果の認められなかった200~300MPaの圧力でも,微量のAITを添加して処理することで殺菌が可能となった.しかし,圧力,AIT共に抵抗性のあるS.aureusや耐圧性芽胞には効果が少なかった.(4) AIT添加高圧処理後のAITによる静菌効果を検討したところ,高圧処理によって生じた初発菌数の減少に加え,存在するAITにより誘導期の延長効果が認められた.その延長時間は,AIT濃度の増加と共に長くなった.S.aureusにおいても,高圧処理による菌数減少は認あられないものの,AITによって菌数増加は遅延した.(5)高圧とAIT添加の併用処理による食品の保存効果を浅漬で検討した結果,日持ちが向上した.