無塩豆味噌,豆味噌および八丁味噌の水溶性区分(W-S)およびブタノール可溶性区分(Bu-S)等について官能試験を実施し,豆味噌の苦味に対する食塩の影響を検討した. (1) 無塩豆味噌の10倍希釈W-S液,食塩量を0.02%に脱塩した豆味噌W-S液および苦味アミノ酸溶液(各100mg/100ml)はそれぞれ強い苦味を呈したが,0.25%以上食塩量の添加によりその苦味は弱められた. (2) 無塩豆味噌・豆味噌・八丁味噌Bu-S液(10mg/ml),無塩豆味噌W-S液(100mg/ml)はいずれも強い苦味を呈したが,1%食塩水下では苦味が弱められた. (3) 各種苦味アミノ酸溶液(各100mg/100ml)は,食塩(0.25%以上)およびGlu(100mg)あるいはAsp(100mg)を添加することにより苦味が弱められたが,GluはAspに比べて苦味に対する抑制作用は強かった. (4) 以上のことから無塩豆味噌の強い苦味は食塩が存在しないために苦味アミノ酸および苦味ペプチトなどの苦味が発現したものと考察された.