「酢味噌」として市販されている小袋包装の加工味噌の膨れた原因を調べ,以下の結果を得た. (1) 正常な加工味噌のpHは4.2,食塩含量約5%,全糖16-17%であった.膨れた味噌のpHは4.0と正常の味噌のそれよりも低く,酸度Iは高くなる傾向が認められた. (2) 膨れた試料からは,酵母はほとんど検出されず,乳酸菌が106cfu/g検出された.分離した乳酸菌を小袋包装した味噌試料に添加したところ,膨れが発生した. (3) 分離された乳酸菌L-1株は Lactobacillus fructivorans と同定された.本菌はヘテロ発酵を行う乳酸菌であり,乳酸やアルコールとともに炭酸ガスを生成することが認められた. 以上のことから,本乳酸菌L. fructivorans L-1は,増殖に伴うヘテロ発酵により,味噌の膨れを引き起こすことが認められた.