固形食品中におけるでんぷんの糊化を実験的に再現して,糊化過程における動的粘弾性挙動の測定を試みた. 1 測定中のでんぷんの分離を防ぐため,2% (w/v)キサンタンガム水溶液にでんぷんを分散させて測定した結果,穀類でんぷんで10% (w/w)以上,イモ類でんぷんで3% (w/w)以上のでんぷん濃度で測定可能となり,50% (w/w)の高でんぷん濃度においても測定可能であった. 2 糊化の温度特性値及び糊化後の粘弾性値にキサンタンガムの影響はほとんど認められなかった. 3 G'の上昇開始及びピーク温度はDSCによる糊化の開始及び終了温度とほぼ一致した. 4 動的粘弾性挙動は測定時の加振振幅によって影響されるため,最小にする必要があった. 5 動的粘弾性挙動から得られた糊化温度特性値,粘弾性値に異種でんぷん間の差異がよく示された. 6 穀類でんぷんとイモ類でんぷんの粘弾性の濃度依存性の違いが明確に示された.