一番茶期‘やふきた’の熟度の違い及び製茶法の違いによる茶の食物繊維等の内容成分の変動を検討した.熟度の違いでは,出開き度の異なる茶葉(1番茶)をマイクロ波乾燥した試料,製茶法の違いでは,出開き度の異なる茶葉を煎茶,紅茶に製造した試料を供し,品質関連成分を測定した.また,茶期別の食物繊維含量の変化を検討した. 1) 一番茶期における熟度による食物繊維の変化を調べたところ,熟度か進むにつれSDFは減少,IDFは増加した.製茶法の違いによる変異は,紅茶にするとSDFでは緑茶とはあまり差がなく,熟度か進むにつれ減少していったが,IDFは測定開始より非常に多く,酸化重合が食物繊維含量になんらかの影響を与えると示唆された. 2) 遊離糖では,熟度が進むにつれ,シュクロース,フラクトース,グルコースが増加し,アラビノシルイノシトールのみが減少した.紅茶にしてもアラビノシルイノシトールのみは量が変化せず,熟度のみに左右されるため,熟度を判別する指標となりうると考えられた. 3) 遊離アミノ酸では,熟度の進行により主要アミノ酸全てが減少した. 4) カテキン類では,熟度の進行とともにエステル型カテキンであるEGCg,ECgやカフェインは減少し,遊離型カテキンであるEGC,ECは増加した. 5) ビタミンEは熟度の進行とともに増加した.