卵白アルブミン溶液の通電加熱を試み,その際の昇温速度について検討した. (1) 10%アルブミン溶液の昇温は,75℃までほぼ直線的で,周波数が高くなるに従い,僅かに速くなる傾向を認めた.また用いたすべての周波数で,ゲル化する75℃から昇温が速くなる傾向を認めた.90℃までの到達時間は,10kHzの通電加熱の場合で約380秒であったのに対し,湯煎加熱では約1300秒であった. (2) 2%卵白アルブミン溶液では,90℃まで加熱してもゲルは形成されず,変化温度も認められなかった. (3) 通電加熱ゲルの外観,破断強度は湯煎加熱のそれと比較してほとんど差が認められなかった. (4) 卵白アルブミンの溶液とゲルのインピーダンスの周波数応答は,通電中の各温度(20-90℃)でほぼ同じであった. (5) 均質化した生卵白および水溶性卵白は,60℃で変化温度が認められた.一方生卵白および濃厚卵白は,変化温度が認められず,60℃までの昇温は均質化した場合よりやや速かった. 加熱中に相変化を伴う卵白において,通電加熱が迅速な加熱法であることを確認した.変化温度は,材料自身の電気特性の変化ではなく,相変化に伴う対流現象の消失と熱拡散の抑制により,発生した熱の損失低下が主な原因と考えられる.