グロビン加水分解物(GH)に含まれる各成分の性状とゲル形成性との関連について検討し,下記のような結果を得た. (1) 加水分解直後のGHは,グロビン(G)と同程度の分子量を持っポリペプチドとGよりも低分子のポリペプチドからなり,凝集体は認められなかった. (2) GHを30℃で10時間以上放置したところ,70万以上の分子量を持つ凝集体が生成した.なお,この凝集体は,分子量1.5万以下のものから構成されていた. (3) 粉末化したグロビン加水分解物(GH標品)ならびにGHゲルの溶解物の中にも,(2)と同程度の分子量を持つ凝集体が認められ,これらの凝集体も分子量1.5万以下のポリペプチドから構成されていた. (4) GH標品の疎水クロマトグラフィーの結果から,GH標品は少なくとも疎水性の異なる三つの成分(GHP1, GHP 2, GHP 3)からなっていることがわかった.また,ゲル濾過で得られたP 1は,GHP 3からなり,P 2は疎水性の異なる二つの成分(GHP 1とGHP 3)から構成されていることがわかった.