サツマイモ塊根の粗蛋白含量および遊離・加水分解アミノ酸組成の品種間差異を2か年にわたり調査した.材料として近年育成されたβ-アミラーゼ欠損系統も含めた.粗蛋白含量については単一の年度内では品種間差が認められたが,年次間の傾向は大きく異なり不安定であった.加水分解アミノ酸の組成においてはアスパラギン酸含量の品種間差が大きく,その年次間の傾向は大きく異なった.その他のアミノ酸については品種間でほぼ同様であり,年次間比較でも組成としての大差はなかった.すなわち,β-アミラーゼ欠損系統も含めて,塊根の粗蛋白含量・アミノ酸組成には,年次間で安定した大きな品種間差は無かった.遊離アミノ酸についてはほとんどの品種でアスパラギンが最も多く含まれ大きな品種・年次間差が認められたが,この傾向は加水分解アミノ酸の組成におけるアスパラギン酸含量の品種・年次間差とよく一致した.