リゾレシチンを添加して炊飯した米飯の物性と微細構造について無添加の米飯と比較検討を行った. (1) リゾレシチンを添加することにより,米飯は硬く,粘りがなくなり,食味の点で悪い方向に変化した.これは,リゾレシチンが米飯中のアミロースと複合体を形成し,構造化したためと示唆された. (2) リゾレシチン添加米飯は,表面区分だけでなく内部区分にも僅かにアミロース-リゾレシチン複合体を形成していた.また,リゾレシチンを包接したアミロースの割合は,表面区分で3.1%,内部区分で2.6%であった. (3) リゾレシチン添加米飯の表面区分にはアミロース以外に約5%アミロースより低分子の物質が存在していることがわかった.これは,リゾレシチンが炊飯中,澱粉に何らかの作用を及ぼし,アミロペクチンを加水分解した分解残さではないかと推察した.