鶏卵の生産から消費に至る間の品質に対する温度の影響を,鉄道によって冷蔵輸送を行なう場合を考慮し,大体夏期を想定して実験室的に検討すべく,各種条件における鶏卵の品質変化を重量,気室,卵黄係数,HAUGH単位,濃厚卵白直径,水様卵白直径,pHおよび揮発性塩基窒素について測定,統計学的に比較検討を行なった。またその結果から考察すると,比較的新鮮な鶏卵を出荷した場合には,到着時には冷蔵輪送によるものの方が,しからざるものよりかなり品質がすぐれているが,消費者の手にわたるときには,冷蔵輪送によらないものとの間の品質的な差ははるかに少なくなることが予想される。しかし実際には,各種の条件や要因が考えられるので,これらを十分考慮する必要がある。