噴霧乾燥豆乳を原料とした袋入豆腐の製造について試験を行なった。 (1) 噴霧乾燥豆乳だけで袋入豆腐を作ると,濃度の割合に堅さが低く,離水量,澄み水の多い,品質が劣った豆腐となる。 (2) 噴霧乾燥豆乳を普通豆乳に混合して使用することはある程度可能で,混合豆乳の固形分中,乾燥豆乳によるもの40%以内を限界と考える。したがって固形分6%程度の豆乳に乾燥豆乳を加えて,固形分10%にする程度であれば,できた袋入豆腐の性状はそれほど悪くない。 (3) 乾燥豆乳による袋入豆腐の品質が劣ることは,熱湯に対する溶解が不完全なことが一つの原因と考えられ,上記比率の混合豆乳の場合,重合リン酸塩を添加すると,保水効果の他に溶解促進作用によって豆腐の品質がかなり改善される。 (4) 袋入豆腐製造の簡易化に重合リン酸塩を使うことは,上記比率混合豆乳であれば十分有効なことを認めた。