コンニャク精粉のもっとも重要な性質は,水溶液のレオロジー的性状であるので,その本質的な性状を,島津製作所製ユニバーサルレオメーターUR-I型で吟味し,つぎの諸点を明らかにした。 (1) 低濃度溶液は非ニュートン粘性流動を示すが,濃度約0.8%をこえる比較的高濃度溶液は非ビンガム塑性流動を示し,降伏値が認められる。しかし,精粉の種類による流動曲線の本質的な差異は,認められない。 (2) 見かけの粘度η'の濃度依存性は,ふつうの高分子物質と比べて小さいが,傾向はよく一致している。 (3) η'と降伏値Syとの関係は,η'D-200=a+1/200 Syで表わされる。 (4) η'と測定温度との関係は,近似的に,ANDRADE式に従う。 (5) 精粉の種類,濃度,測定温度および降伏値の有無・大小に関係なく,水溶液の流動性は,S=kDnで表わされるN乗則によく従う。 (6) 水溶液の流動性は,粘性指数k,流動指数nおよび降伏値により,数量的に表現される。 (7) 各種精粉の流動性を特徴づけるには,濃度約1%の溶液で測定されるのが適当である。