ラード無添加焼菓子からかっ変反応物をアセトン抽出しフェリシアン化カリウム還元力とラードの安定性との間の関係を試験した。 (1) ラード添加焼菓子においてはラードのカルボニル量の上昇点においての還元力の値は一定の関係は認められなかったが,ラード無添加焼菓子からのアセトン抽出した還元性物質添加ラードのAOM酸化試験の結果,カルボニル量の上昇点は還元力の一定の値のところであることがわかった。 (2) G2.5+L0.5の場合には還元力は0.08~0.09程度以下には酸化は進まず,G2.5の場合には0.05付近で平衡に達した。 (3) 還元性物質の日光下で空気酸化した還元力0.105のものにあっては抗酸化性はなくなっていた。 (4) アセトン抽出液の日光下における空気酸化では,紫外,可視吸収スペクトル,還元力とも大きく変化した。 (5) グリセリン,流動パラフィンとラードの還元力の安定性の差から考えると,還元性物質はラードの酸化物を経由して酸化すると考えられる。