焼菓子にブドウ糖とリジンを添加して生ずる還元力と油脂の安定性との関係を試験した。 (1) 数種の有機溶剤による還元性物質の抽出の結果,極性の大きな溶剤であるアセトンおよびエタノールがすぐれ,油脂に対する安定性も良好であった。 (2) S, G2.5, G2-5+L0.5の3試料のアセトンおよびエチルアセテートによる還元性物質の抽出,ならびにAOM酸化試験によって,油脂の安定性にはかっ変反応物が大いに関与し,ブドウ糖その他の原材料中の溶剤抽出物の影響は無視できると考えられる。 (3) オゾンおよび空気による酸化の結果,還元力で代表されるかっ変反応物が油脂の安定性に大きく影響していることを知った。またこのものは直射日光下では空気によってすみやかに酸化され,油脂に対する安定性は低下する。