C社煮豆工場における煮豆製造工程中の総菌数を昭和40年1月より昭和41年1月まで1ヵ年間22回にわたり調査を行なうと同時に落下菌との関係を検討した。 1. 煮豆製造中の総菌数は煮熟前がもっとも多く,次に原料,タレ切れ,煮熟後,袋詰,製品の順に減少している。耐熱菌は僅少であった。 総菌数のうち細菌が85~90%をしめ,カビは約10%,酵母は僅少であった。 (1) 煮熟前の菌数は原料の4.7倍(水分を換算すると16倍)と一番多い。この場所は選別所の隣りであり,かつ12時間水に浸漬している間に微生物が増加するものと考えられる。 (2) 原料の菌は生産地における汚染によるものと思われる。 (3) 糖液中の菌数は煮熟前についで多く,カビ,酵母もほかの工程よりも比較的多く総菌数に対して前者が約20%,後者が約5%であった。 (4) 耐熱菌数は総菌数の4.2%であった。 2. 落下菌と製造各個所の総菌数を季節ごとに比較すると原料,煮熟前を除いて,やや似た動向を示し,とくに糖液はほとんど落下菌と同様な動向を示した。 3. 設備改造について (1) 旧充填室の袋詰菌数はタレ切れ菌数に対して27.3%の減少率である。 (2) 新充填室の袋詰菌数はタレ切れ菌数に対して45.8%の減少率である。 4. 気象による影響はあまりないが,工場の道路側より吹く北東の風のとき,総菌数が多くなっている。