茶の浸出条件と溶出マンガン,ニッケルとの関係を品質の異なる茶について検討し,つぎのごとき結果を得た。 (1) 製茶において品質のよいものほどニッケルを多く含有し,質のよくないものほどマンガンを多く含有することを認めた。 (2) 浸出温度が高く,また浸出時間が長くなると煎茶,紅茶ともマンガンおよびニッケルの溶出量は増加し,質のよいものほどその増加割合は大きい。また上級茶は60℃においても相当溶出されるが,下級茶では80℃または100℃の高温で浸出しないと十分溶出されないことを認めた。 (3) 浸出水の沸騰時間が長くなると,マンガンの溶出量はわずかに増加するが,ニッケルは30分以上沸騰しても溶出量にはあまり変化がみられない。 (4) 浸出する水の種類とマンガン,ニッケル溶出量との間には一定の傾向はみられなかったが,概して蒸留水で浸出した場合の溶出量が高かった。 (5) 浸出試験を通じて煎茶,紅茶のいずれも,質のよいものほどマンガン,ニッケルの溶出量および溶出率が大であることを認めた。