マンガン,ニッケルおよびコバルトをポーラログラフ法で検討し,つぎのごとき結果を得た。 (1) マンガンの各種支持塩と共存イオンの影響について検討した結果,1M-NH4OH+3M-NH4Clを用いることにより,妨害イオンの影響もほんとどなく,迅速定量に適することを認めた。 (2) ニッケルとコバルトは1N-KCl+0.5Mピリジン溶液中において,約0.3Vの差を有する2段のきわめて良好な還元波を示したが,亜鉛が共存する場合はコバルトと合波を示すため,コバルト定量に際してはあらかじめ亜鉛を分離する必要がある。 (3) 茶の葉位別とマンガン,ニッケル含量との関係をみたところ,マンガンは下位葉に多く,ニッケルは逆に上位葉に多く含有することを認めた。 (4) マンガンおよびニッケル量は茶の品種間で可成り相違するも,ことにマンガンにおいてそれが著しい。 (5) 茶葉の摘採日がおくれるに従って,マンガンは幾分増加しニッケルは逆に減少する。なお無覆茶は被覆茶に比してマンガン量が高く,光線とマンガン生成との間に深い関係があるように思われた。 (6) 製茶の種類間におけるマンガン含量は玉露よりも番茶のような下級茶に多く,ニッケルは逆に上級茶に多く含有することを認めた。