各種澱粉糊化溶液にアルギン酸ナトリウムを添加し,その糊化溶液の安定性について,濁度,毛管上昇性,離水量及び澱粉ゲルの状態の4つの観点から測定した結果,つぎの知見を得た。 (1) 各種澱粉とも多少の差はあるが,アルギン酸ナトリウムの添加量に伴って安定効果を認めた。 (2) 濁度測定実験では澱粉の種類により差があったが,とくに小麦澱粉の場合に白濁がおそく,添加効果が顕著であった。 (3) 毛管上昇性および離水量測定では小麦澱粉は他の澱粉よりも遊離水が少なく,かなり他の澱粉と性質の異なることが認められた。 (4) 毛管上昇距離測定では,アルギン酸ナトリウム無添加の場合5日目で各種澱粉とも最高を示し,老化が行なわれていることが認められた。アルギン酸ナトリウムを添加した場合はいずれも顕著な上昇距離の減少を示した。 (5) 澱粉ゲルの状態の場合も,とくに小麦澱粉にアルギン酸ナトリウムの添加効果が顕著に認められた。