本研究は,乳酸菌混合カルチャーを接種し発酵後に非加熱乾燥した,乾燥食肉製品「発酵ポークジャーキー」の加工技術を開発することを目的として行った.乳酸菌カルチャーの培養基には,10%ホエイに0.5%酵母エキスと0.5%グルコースを混合した培地が10%脱脂乳および10%ホエイ培地よりも適していた.試作した発酵ポークジャーキーの理化学的特性は,pH 4.47±0.09,Aw 0.70±0.03,および食塩5.35±0.37%であった.ジャーキーの乳酸菌数は,5℃,35日間保存の場合は初発菌数の107cfu/gレベルを維持した.しかし,25℃保存では35日後に検出されなくなった.試作品のせん断力価は市販ジャーキーよりも小さかった.発酵処理豚肉の筋原線維タンパク質のSDS-PAGE分析の結果,200kDa付近のバンドが薄くなり,45kDa付近に新たなバンドが認められた.乳酸菌の接種による筋原線維のプロテオリシスが,ジャーキーの軟化現象に影響を与えている可能性が示唆された.官能評価の結果,試作ジャーキーの色調,味,および食感は良好であった.本研究で開発した発酵ポークジャーキーの加工技術は,今後,プロバイオティクス乳酸菌など多種の乳酸菌の利用が可能な新規食肉加工技術として期待される.