各種剪定材(カキ,クワ,サクラ,ウメ,ナラ,ブドウおよびリンゴ)を菌床に用いて栽培した鹿角霊芝子実体の水抽出物の差異について検討した.子実体から抽出した水溶性画分(WS)は,菌床の違いで収量(全糖量)が異なり,WSから得られた水溶性多糖画分(WS-H)でも収量に差異が認められた.WS-Hの全糖量はカキで最も多く,次いでリンゴとクワが多かった.構成糖組成の比較を行ったところ,カキおよびクワではアラビノースおよびキシロースが顕著に多く見られた.他のものではガラクトース,マンノースおよびグルコースが多く含まれていた.糖結合様式について検討したところ,ガラクタン系多糖およびグルカン系多糖で構成されていた.一方,カキおよびクワではガラクタン系多糖の他に,キシラン系多糖も多く含まれていた.したがって,異なる剪定材を菌床に用いて栽培した鹿角霊芝の子実体より抽出した水溶性多糖には違いがあることがわかった. 今回の結果から,菌床を変えることで,異なる効能を備えた鹿角霊芝子実体の栽培が期待できるとともに,本来廃棄物として処理されている剪定材を有効に利用する可能性が示唆された.