カボチャ種子をマイクロ波試料分解装置により酸分解して試料溶液を調製した後,誘導結合プラズマ発光分析法により8元素(Mg, P, K, Ca, Mn, Zn, SrおよびBa),また,誘導結合プラズマ質量分析法により15元素(V, Co, Ni, Cu, Rb, Y, Mo, Cd, Cs, La, Ce, Nd, Sm, GdおよびTl)を定量した. 国産49ロット,ニュージーランド産31ロットの定量値を用いて国産-ニュージーランド産間を判別できるモデル(P, K, Ca, Ni, Zn, Rb, SrおよびBaの8元素を利用)を構築した.このモデルは,別に分析した国産30ロットの内27ロット,ニュージーランド産9ロットの内7ロットを正しく予測し,判別的中率は87%(34/39ロット)となった.同様に国産品49ロット,メキシコ産品33ロットの定量値を用いて国産-メキシコ産間判別モデル(P, Ni, Zn, Rb, SrおよびMoの6元素を利用)を構築した.このモデルは,別に分析した国産30ロットの内27ロット,メキシコ産8ロットの内7ロットを正しく予測し,判別的中率は89%(34/38ロット)となった. 続いて,産地表示の信憑性調査への利用を想定して,両モデルを用いた「国産-外国産間判別技術」を検討した.この技術を用いて,原産国名を伏せたカボチャ種子試料の産地を3試験室で予測した結果,国産全6試料を「国産品」と,ニュージーランド産全6試料,メキシコ産全6試料を「外国産品」と正しく判別した.複数試験室による産地予測が正しく行われ,カボチャの原産地表示の信憑性を無機分析により検証できるスクリーニング手法が作成できた.