野生・栽培キノコ195種の熱水およびエタノール抽出物についてα-アミラーゼ,α-グルコシダーゼに対する阻害活性のスクリーニングを行なった. 強いα-アミラーゼ阻害を示したのはニオウシメジ,クロハツ,アミガサタケであった.また,強いα-グルコシダーゼ阻害を示したのはツバフウセンタケ,ニセアシベニイグチ,ウスフジフウセンタケ,キヌガサタケ,コウモリタケ,クロカワであった.α-グルコシダーゼ阻害の強かったキノコ6種についてLCMSより阻害成分の検索を行なったところ,ツバフウセンタケ,ニセアシベニイグチ,ウスフジフウセンタケ,キヌガサタケよりα-ノジリマイシン,7- o -β-D-グルコピラノシル-α-ホモノジリマイシンが検出された.さらに,定量を行なったところ,2種のノジリマイシン類縁体の合計量ではニセアシベニイグチが最も多く,次いでツバフウセンタケ,ウスフジフウセンタケがほぼ同量で,キヌガサタケが最も少なかった.これはスクリーニングにおける阻害の強さとも一致しており,この4種のキノコではノジリマイシン類縁体がα-グルコシダーゼ阻害作用の主成分であることを支持していた.クロカワ,コウモリタケではノジリマイシン類縁体は検出されず,他の水溶性阻害成分の存在が示唆された.