日本国内で主に流通している国産養殖ウナギと輸入(中国産・台湾産)養殖ウナギの産地判別の可能性を検討するため,炭素・窒素・酸素安定同位体比を測定した.その結果,炭素および窒素同位体比は,国産ウナギ(δ13C=-17.6±0.6‰(平均値±標準偏差),δ15N=+16.4±0.7‰)は,台湾産(δ13C=-20.5±0.7‰,δ15N=+13.2±1.6‰)および中国産(δ13C=-21.4±0.5‰,δ15N=+14.3±0.9‰)よりも有意に高い値を示し,餌の違いを反映していると考えられた.また,酸素同位体比は,生育水の違いを反映して,国産ウナギ(+7.4±1.4‰)が,中国産(+11.1±0.9‰)および台湾産(+10.0±1.3‰)よりも有意に低い値を示した.以上のことから,炭素・窒素・酸素安定同位体比により国産養殖ウナギと輸入養殖ウナギとの産地判別の可能性が示唆された.