乾燥野菜の吸水速度および体積膨張を把握するため,空隙率の異なるナス,ダイコンおよびニンジンを試料として,含水率の経時変化,見かけ密度,真密度の測定を行い,得られた空隙率が吸水速度,体積変化に及ぼす影響を調べたところ,以下の知見を得た. (1) 各試料の吸水過程における含水率変化は,拡散方程式の無限平板モデルにより説明できる. (2) 各試料の吸水過程における拡散係数 D はArrhenius型の温度依存性に従った.この関係を基に吸水過程における活性化エネルギを求めたところ,ナスの値が最も小さく,ダイコンおよびニンジンと比べて吸水しやすいことが推察された. (3) 各試料の比容積は,含水率の増加に伴い一次関数的に増加するが,同一の含水率における比容積はほぼ同じ値をとる. (4) ナスの空隙比は吸水過程の進行に伴い下に凸の緩やかな曲線を描きながら減少したが,ダイコンとニンジンの空隙比は吸水開始直後に急激に低下した. (5) 試料空隙は体積変化よりも吸水速度に大きく影響を及ぼす.