TIの摂取は体内脂質代謝に変動を及ぼすとの仮説を検証するために,起源を異にする2種類のTIであるOMJPQとRBTIをそれぞれ0.2%含む飼料をWistar系の幼ラットに3週間与え,肝臓や血清における脂質含量の測定を含め動物に与える影響を調べた. その結果,体重増加量と飼料摂取量はC群に比べ両TI摂取群(OM群,RBTI群)に有意な差は示されず,TI摂取による生育抑制作用は認められなかった.一方,肝臓総脂質含量,肝臓中性脂肪含量については,C群に比べRBTI群で有意な低値を示し,また血清中性脂肪濃度については,C群に比べOM群とRBTI群で有意な低値を示した.また,膵臓重量,膵臓タンパク質量,膵臓酵素活性を測定したところ,C群に比べTI摂取群でいずれも高値傾向あるいは有意な高値を示し,TI摂取に伴う膵臓へのTrophic効果が観察された. 以上より,食餌性のTIは体内脂質代謝に影響を与え,その結果として血清中性脂肪濃度を低下さすことが示された.またその作用はTIの有する膵臓外分泌機能亢進効果と深く関連することが示唆された.