高知県長岡郡大豊町で生産されている碁石茶熱水抽出物のスーパーオキシドアニオン消去活性,カテキン類含量,ならびに没食子酸含量の製造工程中の変化を調べた.その結果,碁石茶のスーパーオキシドアニオン消去活性はその製造工程中,好気的発酵と嫌気的発酵で大きく増加することが判明した.また,カテキン類の大部分(EC,ECg,EGC,EGCg,GCg,GA)は好気的発酵工程中に最大となり,その後減少するのに対して,CとGCは嫌気的発酵工程において最大値に達し,碁石茶最終製品中に高い濃度で含まれることが明らかとなった.しかし,今回分析対象として定量したカテキン7種類,ならびに没食子酸の碁石茶最終製品のスーパーオキシドアニオン消去活性に対する寄与率は低かった.従って,好気的,および嫌気的発酵工程で生成される他の物質が主要な抗酸化物質である可能性が高いと考えられた.今後,関与成分の全容を明らかにすることで,高知県の貴重な地域資源である碁石茶に科学的知見が付与され,高付加価値化を図ることができるものと期待される.