オカラ豆乳混合物は乳酸発酵するとアルカリに安定な多糖類が若干増加し,胆汁酸吸着能が増加した.乳酸発酵オカラ豆乳をラットに投与すると未発酵オカラ豆乳に比較して糞中胆汁酸量と盲腸重量は増加した.また,乳酸発酵オカラ豆乳摂取によりラット盲腸内容物のプロピオン酸と酪酸量が増加した.乳酸発酵で生成したアルカリに安定な多糖類が腸内で微生物によって短鎖脂肪酸に変化したと推定される. 胆汁酸吸着物質は0.1M NaOH溶液で発酵オカラ豆乳から抽出可能であったが,アルカリ抽出後に吸着能が低下した.また,抽出した胆汁酸吸着物質をゲルろ過クロマトグラフィーで分離すると吸着物質の主成分はタンパク質であったが,未発酵物と乳酸発酵物の間の吸着能の差は減少した.オカラ豆乳混合物の乳酸発酵による胆汁酸吸着能増加の原因は主に乳酸発酵過程で生成するアルカリに安定な不溶性多糖類と推定された.