酵母発酵食品中のGABAは,発酵の過程で酵母によって消費される.本研究では,酵母によるGABA消費の低減を目的に,実用パン酵母より,GABA資化性の欠損した変異株を取得した.変異の原因遺伝子は,窒素源代謝の促進に関与する転写活性化因子をコードする DAL81 遺伝子であることが判明した.発酵過程における変異株のGABA消費量は有意に減少していたが,発酵力は野生型株と同等であった.従って,本変異株を利用することにより,GABAが富化されたパン生地の発酵が可能となるものと期待される.