日本,ニュージーランド,オーストラリア,アメリカ及びタイのタマネギ( Allium cepa L.)20品種を供試試料とし,品種間における遺伝的多様性を解析した.その結果,再現性の高い19個のSTSマーカーを作成した.これらマーカーを用いて各品種24個体における品種内個体差を調査した.葉緑体及びミトコンドリアDNAより作成したマーカーは品種内個体差がほとんどなかったが,その他のマーカーについては品種内個体差が多く確認された.これはタマネギが他殖性植物であることが原因と考えられ,現技術ではタマネギの1個体での品種識別は不可能であることが確認された.しかしながら,品種間において各マーカーのアリール頻度は一定の傾向を示し,これら頻度を2群の比率の差の検定で比較することにより品種を識別できる可能性が示唆された.