ダリア球根には水溶性食物繊維イヌリンが含まれていることから,廃棄球根の有効利用が望まれている.一方,ダリア球根による食中毒事件が1967年に1件だけ群馬県において発生し,動物実験により特殊な自律神経毒アトロピンを含有していたことが報告されている.本研究ではダリア球根の食材としての安全性を確認するために,ダリア球根およびイヌリン調製過程での添加アトロピンの挙動を調べた.その結果,ダリア球根には水溶性食物繊維イヌリンが豊富である.使用した宝塚佐曽利地区産の32種のダリア球根や10種の花びらと葉にはアトロピンの含有は認められなかった.また,ダリア球根に添加されたアトロピンはイヌリンの精製初期段階において除去された. 以上の知見から精製ダリアイヌリンやダリアの球根の食品への利用は可能であろうと考察した.しかし宝塚以外の産地のものや生育環境の違うものについては確認していないので今後の検討課題としたい.