気密性容器包装詰食品の微生物的安全性を評価するため, 福岡県内で販売されている49品目の気密性容器包装詰食品についてpHおよびA ω を調査した.18品目はpHが4.6を超え, かつ, A ω が0.94超える食品で, 18品目中5品目は殺菌方法について全く記載がなく, ボツリヌス菌食中毒予防の観点から殺菌方法の明示が望まれた.さらに49品目の中から福岡県内で製造されている気密性容器包装詰食品5品目 (A, B, C, DおよびE) についてそれぞれ3ロット購入し, 1ロット5検体についてpH, A ω , 一般細菌, 好気性芽胞形成菌, クロストリジアおよびボツリヌス毒素を測定した.標準寒天培地に発育した細菌は, 16SrDNA塩基配列に基づく相同性検索を行った.5品自中4品目 (A, B, CおよびD) はpHが4.6を超え, かつ, A ω が0.94超える食品であった.食品Aは, すべての検体から一般細菌が検出され, 8検体からクロストリジアが検出された.食品Aは, 好気性内生胞子形成細菌4属 ( Bacillus 属, Paenibacillus 属, Virgibacillus 属, Brevibacillus 属) および Pseudomonas 属, Staphylococcus 属, Microbacteeium 属 Kocueia 属および Methylobacteeium 属の計9属であった.食品Cは, 3ロットそれぞれ5検体中1検体からは Bacillus 属 ( B. subtilis と B. fiemus , または B. subtilis ) が検出された.食品Eは15サンプルすべてA ω が0.82以下であったが, いずれの検体からも Bacillus 属 ( B. subtilis, B. simplex および Bacillus spp .) と相同性のある細菌が検出された. 本調査では容器包装詰加圧加熱殺菌食品Dと要冷蔵食品Bは, 細菌制御が十分であることがわかった.しかし, 殺菌方法の表示のないAおよびE, 真空高熱殺菌された食品Cから細菌が検出された.食中毒予防の観点からこれらの食品の包装詰前後の加圧・加熱条件を明確にし, その条件によっては, 流通過程での保存方法や賞味期限の設定などに関する指導が必要と考えられた.