食品および環境材料からの Listeria 属菌検出のための簡易迅速テストキットについて培養法と比較検討し, その性能評価を行った. このテストキットには Listeria 属6菌種12菌株すべてに反応し, 特異性の高いことが証明された.また, 感度については菌種菌株のよって多少は異なるが, 鞭毛の十分産生される30℃培養を行うことが必須の条件で, L.monocytognees の場合105cfu/m l 以上であった. 食品および拭き取り材料39検体からの Listeria 属菌の検出は培養法と高い確率で一致した.39検体中キット法陰性で培養法陽性のものが4検体あったが, これらはいずれも菌数が104cfu/m l 以下であった.逆にキット法陽性で培養法による Listeria 属菌陰性は1検体もなかった. L.monocytogenes は39検体中17検体から検出されたが, このうちキット法, 培養法ともに陽性が15検体であった. 以上の成績からこのキットは Listeria 属菌を対象にした簡易・迅速法であるが, 培養法と比較して精度は若干劣るものの2日間で L.monocytogenes を含む Listeria 属菌の有無を判定でき, 手技が簡単であること, 判定基準が明確であることなど多くの利点があり, 特にスクリーニング試験用として十分利用できると判断された.