カンピロバクターの検出のためPreston培地とBolton培地の評価を行い,リアルタイムPCR法を併用した検査法の検討を行った.Preston培地とBolton培地に Campylobacter jejuni および C. coli を混合接種し,リアルタイムPCR法と培養法で増菌後の発育状況を確認した.培養後の各選択増菌培地におけるリアルタイムPCR法の定量結果は,Preston培地では C. jejuni が106-7 CFU/m l であったが, C. coli は C. jejuni よりも低い定量値を示した.Bolton培地では両菌種ともに106 CFU/m l 以上検出され,Preston培地とBolton培地における発育は C. jejuni と C. coli で異なる状況が示された.また,市販鶏肉からPreston培地とBolton培地を用いてそれぞれ分離培養を行った際の C. jejuni および C. coli の定量値をMPN法で求めたところ,選択増菌培地がPreston培地では C. jejuni , Bolton培地では C. coli が高い傾向を示した. 選択増菌培地からのリアルタイムPCR法と平板を用いた培養法での検出結果を比較すると,リアルタイムPCR法は検出感度が優れており,偽陰性を防止するためのスクリーニング法として有用であると考えられた.