複雑地形に位置することの多い日本の山地小流域において,土壌呼吸量の時系列データとその空間変動に関する研究はきわめて少ない。そこで山地小流域(1.6ha)において,96個のソイルカラーを対象に土壌呼吸量測定を行った。これらの観測値と地温,土壌水分の関係を地形部位の違いにもかかわらず一つの関数式で表すことができた。流域内の他に設置された264個のソイルカラーを対象とした観測値によってこの関数式を検証したところ,計算値との相対誤差は25%の精度で一致した。この関係式と流域内5カ所における地温,土壌含水率のモニタリングデータから,日単位での土壌呼吸量の時系列データを推定した。これら5地点における日土壌呼吸量の空間変動はほぼ同時に増減し,1年を通じて日平均土壌呼吸量に対して50~140%の範囲で推移した.