表層崩壊発生場の地盤特性を解明するために0.46haの試験地を設け,簡易貫入試験を169地点実施した後に深さ75cmをすべり面とする表層崩壊が発生した。すべり面は, N c<1の土層とそれより下層の N c=2~3の境界面にあり,すべり面はNc=10程度でその深度からNc値が急増するという従来の報告とは異なる結果を示した。そこで,地表下50cm以深に N c<1が存在する層を表層崩壊発生に関与する土層として"脆弱層"と名付け詳細に検討した。脆弱層は遷急線下方にのみ存在し,その底面深度は70~80cmに存在する場合が多かった。試験地内には遷急線下方にのみ深さが77±6cmの15個の表層崩壊跡が存在し,それらが脆弱層を欠くことから,これら旧崩壊発生へも脆弱層の関与が示唆された。飽和定体積一面せん断試験によると,脆弱層の底面に相当する深度にせん断強さの急変域が存在した。