過湿化しやすい場所に植栽されたアカエゾマツを対象に,針葉長の個体間差,年次間差の発生傾向と滞水ストレスとの関連を検討した。アカエゾマツの葉身長(Lt)は植栽位置により大きな違いがあり,2001年と2003年,2004年に展葉した葉は,比高が低い位置のアカエゾマツほど短い傾向があった。2002年については有意な傾向はなく,個体間のばらつきが4年間でもっとも小さかった。Ltの全個体平均は2002年と2003年が2001年と2004年より有意に小さかった。同一個体内でもLtに年次間差があったが,大きさ順位に年次間で大きな変化はなかった。さらに各年のLtの全個体平均は,展葉期間(5~6月)の蒸発散能λ E 'とのあいだに有意な相関関係が認められた。すなわち,λ E 'が大きい年ほどLtの全個体平均が大きかった。これらの結果は,微地形と気象条件が過湿環境に影響を与え,ひいてはアカエゾマツのLtの個体間差,年次間差を発生させている可能性を示唆している。