国産材の供給量を今後増加させていくためには,安定的な供給能力の向上が必須であると考えられる。そのためには,木材生産林における木材供給量の把握が必要である。本研究では,収益の安定性を考慮した上で,ある地域における生産可能な木材供給量の水準を0-1整数計画法により予測した。対象地は新潟県村上市旧山北町内の民有林スギ人工林とした。総収穫材積の最大化と中径材収穫材積の最大化,現在の伐期齢とこれを20年拡大した伐期齢を組み合わせた計4通りのシナリオを考えてシミュレーションを行った。その結果,高水準の収益性を維持しつつ,現状以上の木材生産が可能であることが示された。単峰型の齢級構成において,伐期齢の拡大は持続可能な木材供給量の水準を大幅に高めることがわかった。大型製材工場における原料の中心となる中径材の生産量を最大化することが必ずしも収益の最大にはつながらないことが示された。以上のように,本研究で提案した手法は,持続可能な木材供給量水準の予測に有効であるといえる。