森林環境教育の推進には, 日時や学習者の属性を問わず利用できる場が重要であることから, 「森林学習施設」に着目し, 設置状況を把握した。この「森林学習施設」を, 本稿では「屋内外に存在する様々な資料により, 森林に関する学習が可能な, 開かれた施設」と定義した。林野行政, 環境行政, 社会教育行政の3分野, 4種類のデータソースを用いて, 森林学習施設の設置に関する現状を分野横断的に把握することを試みた。データベース構築の結果として992施設が確認できたが, 林野行政が把握しているのはそのうちの401施設, すなわち半数以下であり, 環境行政や社会教育行政分野の施設を含めると, 倍以上の施設を森林学習施設として捉えることができた。また, 森林学習施設の8割近くは地方自治体による設置であった。今後の課題は, 森林学習施設の管理運営や利用に関する検討が挙げられる。