帯状伐採地における光環境の簡単な推定モデルを誘導した。光環境を表す測度として天空率を用いた。モデルを誘導するために, 以下の四つの仮定を設けた。1) 伐採帯の方向は斜面に対して平行である。2) 伐採帯の幅は一定, 長さは無限である。3) 傾斜角は一定である。4) 保残林分の樹高に等しい高さの壁が伐採帯の両側に直立している。天空率の推定に必要な変数は, 帯幅, 保残林分の樹高, 伐採帯内での位置および傾斜角であった。六つの帯状伐採地において, モデルによって推定した天空率と全天空写真によって実測した天空率とを比較した。六つのうち四つの帯状伐採地において, 天空率の推定値と実測値との間に有意な差はみられなかった。しかし, 他の二つの帯状伐採地では過小推定であった。これは保残林分の樹冠を通して伐採帯内に光が入射しないことを仮定したためと考えられた。モデルによるシミュレーションの結果, 帯状伐採地の光環境を推定する上で, 傾斜角は無視できない変数であることがわかった。ここで提案したモデルは, 帯状伐採地における光環境を簡便に推定することを可能にするので, 帯状複層林施業の指針を作成する上で有用である。